過払い金返還請求訴訟
過払金返還請求訴訟
過払金返還請求訴訟
任意に過払い金を返してもらえない場合、速やかに過払い金返還請求訴訟を提起します。
過払い金額が140万円を超えない場合は、司法書士が訴訟代理できます。
140万円を超えてしまう場合、簡易裁判所から地方裁判所に管轄が移るので司法書士は代理人として活動できません。
その場合は、本人による訴訟遂行か、弁護士に依頼していただくことになります。
本人による訴訟の場合、訴状や準備書面などの書類作成を通じて、
本人訴訟を支援させていただくことになります。
法廷には立っていただくことになりますが、綿密に打ち合わせを行いますので心配は無用です。
ちなみに本人訴訟の場合、代理人に任せる場合に比べて
・自分自身が主体となって裁判をするので、裁判の中身がよくわかる
・裁判での和解交渉など自分の意思を反映できるため達成感がある
・裁判というものを経験できる
というメリットがあると思います。
一方デメリットとしては、
・裁判所に何度も足を運ぶ必要がある
・仕事の都合がつかない
というところだと思いますので、金額が140万円を超える場合はよくご検討ください。
裁判の流れ
司法書士が代理人となる場合、本人が同行することは少ないので、
本人による訴訟の場合の流れを簡単に説明いたします。
- 算出した過払金をもとに、訴状を作り、本人の住所地の管轄地方裁判所に提出します。
- 事件番号がつき、1回目の口頭弁論期日が決まります。
だいたい1ヵ月後ぐらいです。
- 1回目の口頭弁論までに、貸金業者のほうから答弁書が届きます。
答弁書には訴状に対する反論が書かれています。
この答弁書、業者によってさまざまですが、争点がある事案の場合、強烈に分厚い答弁書が送られてくることがあります。
なかには意味不明な答弁書もあります。
1回目の期日前に、どのような反論が出ているのかを確認し打ち合わせをします。
以前は特に争点がない場合、1回目の期日前に和解できることが多かったのですが、最近は争点がなくても、やたらと期日を重ね長期化するようになってきています。
期日前に和解ができた場合、入金予定日を確認して、期日は延期します。
- 1回目の期日には相手側はまず出頭しません。
1回目は出頭しなくてよいのです。訴状と相手方の答弁書を裁判所で主張したことになって、たいてい、2回目の期日を決めてその日は終了します。
所要時間2分ぐらいで終わることも。
- 争点がある場合、相手方の答弁書に対して反論しなければなりません。
反論する書面を準備書面と言い、これも司法書士が作成します。
内容は2回目期日前に打ち合わせます。
- 裁判では、和解が勧められることがよくあります。
裁判所が提示する和解案に納得がいけば和解します。
- 何度か期日が重ねられ、お互いの主張がすべて出尽くしたところで、
判決が言い渡されることになります。
勝訴判決が言い渡されると、業者の財産に差し押さえをすることができるようになります。
今のところ、大手貸金業者であれば、勝訴判決を取った後は割と早期に返還してもらえるようです。
ただし、中小の貸金業者の場合、倒産状態になっているところも多く、勝訴判決をとっても払ってもらえず、かといって強制執行するにも差し押さえる財産がなかったり、ほかの過払い債権者と競合して差し押さえがうまくいかないことも多いのが現状です。
過払い金返還請求訴訟での主な争点
「争点」とは争いになっている部分のことですが、この争点が認められるかどうかで過払い金額が大きく変わってくることがあります。
多くの争点が今まで問題になってきましたが、最高裁で決着がついたものも多く、
現在残っている主な争点は以下にあげたぐらいだと思います。
取引期間の途中でいったん完済するなどして契約が終了し、しばらく期間が空いてから再度借り入れをした場合。
俗に「取引の分断」と呼ばれ、今一番争いになる論点です。
貸金業者は1ヶ月程度の空白期間があっただけでも必ず取引の分断を主張してきます。
分断前の取引が10年以上前に終了したものであれば、なおさらです。
10年前の過払い金請求権は消滅時効が完成したと主張してきます。
貸金業者の中には、過去の一定時期より前の取引履歴は存在しないとして開示しないところがあります。
そのような場合、正確な過払い金の計算ができないのですが、方法として
取引履歴の冒頭残高を無視して計算することがあります。
ややこしい話なので詳しくは書きませんが、この計算方法が争いになります。
貸金業者の中には、いろんな業者の債権を買い取ったり、組織を再編してきたところがあります。
他の貸金業者から貸付債権を買い取って、それが過払いになっていた場合
債権を買い取った業者は過払い金を返す義務があるのか、という問題もあり争いになります。
ほんの少し前までは、
・過払い金に付加する利息はいつから付くのか、とか、
・過払い金の消滅時効はいつから進行するのか、などが争いになっていましたが
最高裁の判例が出たことで一応決着がつきました。
今後も判例の動向には要注意です。