自己破産の注意点
自己破産の注意点
手続の選択について
依頼者のご希望は当然お伺いしますが、手続の選択は客観的に判断します。
自己破産を希望されても必ずしも破産手続ができるわけではないということをご理解下さい。
また、どんな場合でも100%免責許可を得られるものというお約束もできません。
見込みをお伝えすることはできますが、最終的には裁判所が判断することだからです。
最近、債務整理の宣伝効果によるものでしょうが、若い方で、比較的短期間に借金し、100万円ほどの負債金額で自己破産を希望される事案が多く見受けられます。
仮に一時的に失業していたとしても、債権者からの長期分割の申し出があったり、その後の収入で支払が見込まれるようになった場合には、総合的にみて「支払不能ではない」と判断されるかもわかりません。
そもそも、自己破産という倒産手続は最後の手段であって、基本的には借金は返さなければならないものですから、破産手続の主旨をよくご理解いただき、「破産すれば払わなくていいんでしょ。」などと、軽率な考えで相談に来るのは控えていただきたいと思います。
保証人の問題
どの債務整理手続をとるにしても受任通知による取り立ての停止効力は保証人には及びませんので、保証人がいる場合には請求が行くことになります。
また自己破産や個人再生をおこなっても、保証人には影響を及ぼしませんので、依頼者が免責されたとしても保証人は免責されません。
保証人の方が支払えない場合は、保証人の方も債務整理を行うことも検討した方がよいかもしれません。 事前にその旨は伝えておいた方がよいでしょう。
家族の問題
債務整理をしても保証人等でなければ、家族、子供に直接的に影響はしませんが、信用情報機関において事故情報が交換されるため、依頼者の家族がカードを作る際に事実上家族の信用が低下する可能性はあるかもしれません。
また、家族に内緒で自己破産をしたいという方もおられますが、基本的には内緒でというのはお奨めできません。破産手続では、資料収集や家計をつけていただく必要があり、ご家族の協力が不可欠です。
それに、二度と多重債務に陥らないようにするためにも借金の問題は家族全員で共有し、解決していくべきだと考えられるからです。
破産手続のような重大なことが後に発覚したら、ご家族は混乱しませんか?
勤務先からの借入
債務整理は基本的には勤務先へは影響しませんが、勤務先から借入があるような場合には勤務先も債権者として扱う必要がありますので、破産することがどうしても勤務先にわかってしまいます。
会社からの借金があるにもかかわらず、「会社にだけは内緒に・・」というわけにはいきません。
給与明細で会社からの借金の返済が控除されたりしていればすぐにわかります。
また、債権者から給与などに差押えをされると、勤務先に状況を知られてしまう可能性はあります。
友人知人からの借金
自己破産をする上では債権者は平等に扱わなくてはなりません。
「友人だけには迷惑をかけられないので返したい・・」という気持ちはよくわかりますが、破産手続において、そのような一部の債権者にだけ弁済する行為は禁止されています。
事情をよく説明し、ご理解を得る努力が必要でしょう。
必要書類の収集について
破産申立に必要な書類が多数有り、基本的には全て収集していただく必要があります。
以下、代表的な必要書類です。
・住民票
・賃貸借契約書(住居、駐車場など)
・預金通帳
・保険証券(生命保険など)
・解約返戻金証明書(解約返戻金がない場合もその旨の証明が必要)
・退職金証明書もしくは就業規則などで退職金見込額の計算ができるもの
・不動産登記簿謄本(不動産がある場合)
・固定資産評価証明書、不動産の査定書
・車検証
・車の評価に関する書類
・株券、ゴルフ会員権等に関する書類
・源泉徴収票もしくは所得証明書(市役所)
・給与明細
・公的支給の受給証明書(生活保護など)
・光熱費の領収書
・事業者の場合は確定申告書や元帳、決算書など